好きなときに好きなだけ書いてます。
なんでも許せる方向け。
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はみがきが終わると、久作は僕をじぃっと見る。僕がチョコレートを食べないように見張ってるんだ。はみがきをしたらお菓子を食べちゃいけないんだって。
でも僕は食べたい。はみがきが終わった後の、すーすーする口の中に、甘いあまいチョコレートを入れるんだ。
5日前、僕ははみがきの後にチョコレートを食べた。そしたら久作にすごく怒られた。4日前は久作が怖くてチョコレートを食べなかったけど、一昨年はばれなかった。でも昨日は見つかってしまった。今日はどうしよう。
はみがき粉がすーすーする口に嫌な顔をして、僕は考えてた。
でもさ、だってさ、食べたくなるんだ。だめだってわかってるさ。寂しいことがあったら嬉しいことが起きてほしいと思うでしょう? 寂しい口の中には甘いチョコレートでしょう?
そしたら、左近が裾を引っ張った。なぁに、と振向いた僕。左近はこっそり僕の口にチョコレートをくれた。久作はあっちを見てる。
「歯、磨いた後の方がなんか食べたくなるよな」
左近は、にやって笑った。僕はもぐもぐ口を動かしながら、にこって笑った。
きっと左近は、僕が寂しい時、嬉しいことを持ってきてくれるに違いないんだ。
久作にごめんねと思いながら、僕と左近はもう一口チョコレートを食べた。
おわり
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ついったーでフォロワーさんに捧げたものです。
「予習もいいですけど、大概にしてくださいよ」
傷口に薬を塗り終えると、川西左近は決まってこう言う。仄かに薬草の香りがする保健室で、日に焼けたはずの彼の肌は、木の葉が全て落ちた今何もなかったような顔して白い。
その指が藤内の腕に包帯を巻き終えるまで、さほど時間はかからなかった。さすがい組と思う反面、もっと時間をかけてくれてもいいのに、とも思う。
「いつもありがとう」
「お礼より、ここにくる回数を減らす努力をしてください」
皺の寄った眉間と不機嫌そうに尖らせた唇が、本心じゃないことくらいわかってるさ。さっきといい今といい、本当に素直じゃない。
たまには先輩として灸でも据えてやろうかと悪戯心が起き上がってしまうではないか。藤内は怪我をしてない方の腕を伸ばした。
肩を引き寄せ、近くなった彼の額に唇を寄せた。
後はもう、逃げるだけ。
「じゃあね、左近。また来るから」
「に…っ、二度と来んな!!」
空しか捉えられなかった反撃の手と共に叫ぶ彼の声が、閉めてしまった障子の向こうから聞こえるが、知った事ではない。
ちょっとからかいすぎたかなと思いつつも、廊下を走る藤内の足は軽かった。
耳まで赤くなった彼など、そう拝めるものじゃない。
かわいいよね、浦風と川西。
※雰囲気だけ
ずっと聞きたかった事がある。
平穏に包まれた箱庭の中で、たまの実習や保健室でしか言葉を交わさなかった彼に。傷をつくっては包帯を巻いてくれた細い指は、今まで何に触れてきたのか。小言を言いながら拗ねたような色を見せる瞳が今まで何を映してしたのか。
できるならその髪に、頬に唇に触れてみたかった。触れて、その温もりを感じられたならそれだけでよかった。けれど、叶わぬまま叶えぬまま、歩み出した別々の道が再び交わることはなかった。 もう一度生まれた世界で、導かれるように出会った変わらぬ姿に、浦風の胸は息もできないくらい高鳴った。
駆け出した足を止めることはできず、距離だけが縮まっていく。こちらを認めた瞳が刹那驚きに見開かれ、すぐさま微笑んでこう言った。
はじめまして、
短い間でしたがとても楽しい日々を過ごさせてくださったフォロワーさんに捧げたものです。
※現ぱろ
大学への進学から上京し、6畳ほどの小さくも快適な自分の城を手に入れたのが二年前。
テレビを買ったのが一年半前。
録画をしたいと思い始め、安くていいレコーダーはないかと、その手に詳しい友人に尋ねたところ、PS3と専用のソフトを買えばら操作も簡単だし価格もレコーダーを買うより安く済むとアドバイスされたのが一年前。
アドバイスに従い一通り揃えた直後、騙されたことに気付いたがもう遅い。
大学から徒歩10分に下宿を決めたのが運のつき。部屋はあっという間にいつものメンツのたまり場に。目的はそう、新品のPS3。
講義終了後、各々が持ち込みなだれ込むソフト、コーラ、生茶、ポテチ、じゃがりこ…etc
無論、俺はゲームに興味はないしそもそも録画目的で購入したはずである。
事の元凶に問い詰めたところ「まさか本気で買うとはな」の一言。同じ顔の双子の片割れが一日20個限定販売のおぼろ豆腐を差し出さなかったら、俺は完全犯罪の計画をねっていただろう。
モップ頭の筋肉馬鹿が3連コンボをくらってボロ負けしたのはその瞬間だった。 そんな毎日がもう、一年も。
※現ぱろ
先輩の部屋はいつもきちんと整頓されていて、その整然とした雰囲気は塵の一つさえ入る隙間を与えないかのように感じる。エアコンの無機質な風は物理的な涼を効率的に送ってくれるけれど、先輩の近くに座るだけで暑さとか湿気とかそんなどうでもいいことが感覚の中から排除される。
心地好い穏やかな空気が肺をいっぱいに満たして、僕はほぅ、と満足の吐息を零す。幸せのおすそ分け、とでも言おうか。
テスト期間は好きだ。勉強を教えてもらうという口実を思う存分発揮でき、今日もこうして二人分のノートと教科書を広げたらいっぱいになる、愛おしくも小さなテーブルを挟んで座ることができる。先輩の指は飾り気のないシルバーのシャープペンシルで、ベンゼン環を書き連ねていく。
一辺の歪みなく書かれた六角形に、OとHが結合しては分離し、また結合していく。 そのOとHに、僕は淡く嫉妬した。
僕だって、ホントはもっと手を伸ばしたいんだ。
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